いつの時代も馬群の先団に立って競馬する逃げ馬は必ず存在します。
逃げ馬というとどうしても歴代に活躍した馬が第一に頭に思い浮かぶでしょう。
しかし、当記事ではあえて過去の名馬ではなく、現役で活躍している逃げ馬にスポットを当てました。
現役で活躍している逃げ馬はどのような馬がいるのでしょうか。
部門ごとに解説していきます。
《この記事で分かること》
逃げ馬についてかんたんに解説しています。
現在活躍している逃げ馬が分かります。
1:そもそも逃げ馬とは?
逃げ馬とは、出走馬の中でもっとも先頭に立って競馬を行う馬です。
レース展開やレースラップはすべて逃げ馬が握っているといっても過言ではありません。
逃げ馬が一頭だけであれば逃げ馬は自分のペースを意識しながら競馬するでしょう。
そして、後から続く馬は逃げ馬の展開を読み取りながら、仕掛けどころを探ります。
逃げ馬こそ、レースの前半から中盤の主役であり、終盤においてもほかの馬の出方を握る存在なのです。
2:短距離で活躍する逃げ馬
現役の短距離逃げ馬は個性のデパートです。
最初に、クセのある短距離逃げ馬を紹介しましょう。
2-1:ビアンフェ
2022年1月時点で重賞タイトルを3つ手にしているビアンフェ。
それまでの勝ち星はすべて逃げて勝利しています。
G1では力不足感は否めませんが、G3レベルの重賞において、ハナを握ることができれば力強い競馬で好走しています。
重賞タイトルのうち、函館2歳ステークス、そして、札幌で代替開催された函館スプリントステークスを好走していて洋芝適性の高いのが特徴で、パワーのある馬です。
2022年はシルクロードステークスから始動します。
春の高松宮記念に間に合うか、注目ですね。
余談ですが、キズナ産駒初の重賞馬でもあります。
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2-2:ファストフォース
ファストフォースは2021年、小倉で開催されたCBC賞を逃げ切りで勝利した馬です。
このCBC賞におけるファストフォースの時計は1.06秒フラット!
信じられないようなタイムでレコード記録を更新しました。
もっとも、このときの小倉は開幕週で良馬場開催、そして開催初日と2日目でレコードが3本出るような異様な馬場だったので、馬場が作ったレコードともいえるでしょう。
しかしながら、馬場の恩恵、低斤量を含めても、のちにスプリンターズステークスを制するピクシーナイトに先着していて、非凡なポテンシャルを持っています。
その後も北九州記念で2着に入線したり、京阪杯で馬券に絡んだりと、短距離界での活躍に期待できます。
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2-3:ライオンボス
現役屈指の1000直の鬼といったらライオンボスです。
2022年1月時点で勝ち星は6つ手にしていますが、そのうちの4つは新潟の直線1000mのもの。
夏の風物詩であるアイビスサマーダッシュも勝利しています。
新潟では鬼の強さを発揮する反面、コーナーのある競馬場、つまり、新潟1000直以外の舞台では凡走していて、まっすぐしか走れないといっても過言ではありません。
近走は7歳ということもあり、衰えを隠しきれていませんが、今年も現役続行を表明しているのでどこかで活躍の兆しを見せてほしいところです。
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2-4:メイケイエール
現役屈指の気性難はメイケイエールではないでしょうか。
非凡な才能を発揮し、春のクラシック時点ですでに重賞タイトルを3つ手にしていながらも、桜花賞にて気性難が露呈し、しんがり負けに喫します。
その後、乾坤一擲を図ってキーンランドカップにも挑みましたが凡走してしまいます。
気性難は調教師の手でも抑えきれるものではなく、扱いが非常に難しいものです。
ところが、池添騎手と共に挑んだスプリンターズステークスでは出遅れて掛かり気味になりながらも末脚を伸ばして4着に入線しました。
気性難さえなければ相当なポテンシャルを秘めているのは間違いありません。
2022年はシルクロードステークスから始動します。鞍上は前走に引き続き、池添騎手が発表されています。
気性難で有名なオルフェーヴルの力を引き出した池添騎手の手腕に期待したいところですね。
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3:マイルで活躍する逃げ馬
マイルで活躍している現役の馬もたくさんいます。
短距離や中距離に比べると層は薄いものの、重賞路線で活躍しているマイラーをまとめました。
3-1:バスラットレオン
バスラットレオンは2021年のニュージーランドトロフィーを勝利した馬です。
ベストバウトはやはりニュージーランドトロフィーでしょう。
スタートからハナに立ち、ミドルペースで中山のトリッキーなコースを通過すると、直線で後続を出し抜いて5馬身差の完勝でした。
ところが、3番人気に支持されて挑んだNHKマイルはスタート直後の落馬により、競走中止となります。
その後、ニュージーランドトロフィーで見せたパフォーマンスはどこに行ったのか、馬券に絡めないどころか二けた着順が続いています。
古馬になる2022年。かつてのような逃亡劇が見られるでしょうか。
3-2:ベステンダンク
2022年で10歳を迎えるベステンダンクはドゥラメンテやキタサンブラックと同い年の馬です。
年齢を重ねながらもコンスタントに重賞路線で馬券に絡み、衰えを感じさせない逃げの競馬でファンの期待に応えている馬です。
2021年は馬券に絡むことはありませんでしたが、それでも米子ステークスやリゲルステークスといった、重賞馬も参戦する舞台で4着に入線しました。
10歳になってもターフに挑み続けています。どこかで馬券に絡んでほしい一頭です。
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3-3:ディアンドル
デビュー当初は短距離を中心に使われていましたが、2021年の小倉大賞典(芝1800m)を使われてからは一変。
それまで主戦場だった1200mから3Fも伸びた舞台で3着に入線し、距離適性の見直しが行われました。
続く福島牝馬ステークスでは7番人の評価ながらも勝ち星を手にし、権利を持って挑んだヴィクトリアマイルでも4着に入線しました。
いまだにベストな距離が分からない馬ですが、短距離からマイルにかけて幅広い距離適性を持っているのは事実でしょう。
2022年、どのレースに挑むのか注目したいですね。
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4:中距離から長距離で活躍している逃げ馬
2021年の中距離から長距離のレースはグランアレグリアやコントレイル、エフフォーリアといった先行~追い込み馬の台頭が目立ち、逃げ馬はそこまでスポットが当たらない年でもありました。
しかしながら、確かな逃げで勝利を手にした馬もいます。
4-1:タイトルホルダー
タイトルホルダーは良血馬ドゥラメンテが世に送り出した代表産駒といってもいいでしょう。
主な勝ち鞍は菊花賞、弥生賞で、スタミナをフルに活かした逃げる競馬が得意です。
タイトルホルダーのベストレースはやはりG1タイトルを手にした菊花賞です。
鞍上を務めた横山武史騎手がハナで競馬をし、道中一度は後続を寄せつけるように大きくスローダウンして息を入れ、最後の直線は後続を突き放すという離れ業で勝利を手にしました。
かつて父の横山典弘騎手がセイウンスカイとともに挑んだ京都大賞典で行った変幻自在の競馬を、その年に生まれた武史騎手が行ったのです。
オールドファンからしたら感慨深いものがあったのではないでしょうか。
それだけではなく、怪我のために出走できなかった父、ドゥラメンテが手にすることができなかった菊のタイトルを産駒が手にしました。
また、宝塚記念においてドゥラメンテを破ったマリアライトの仔であるオーソクレースを、同じ阪神の舞台で完封しているのもドラマがありますね。
このあとに挑んだ有馬記念では不利といわれる8枠16番からのスタートとなりましたが5着に入線し、世代の実力を表明しました。
2022年、脚部不安のためどこから始動するかは未定ですが、今年の競馬界を盛り上げる一人者になるのは間違いないでしょう。
4-2:レイパパレ
レイパパレは春のクラシックに出走することはありませんでしたが、条件戦を3連勝します。
牝馬最後の一冠となる秋華賞へ出走登録しましたが、4/6の抽選に漏れ、同日に開催された大原ステークスでその脚を存分に発揮し、勝利を手にします。
キャリア初の重賞挑戦となったチャレンジカップでも先行競馬で出し抜き、その年はキャリアに傷つけずシーズンを終えます。
古馬初戦で挑んだのは大阪杯でした。
この年の大阪杯は同期の無敗の三冠馬であるコントレイルを筆頭に、三階級制覇を目論むグランアレグリアが参戦しました。
しかし、レース開催1時間前に振った豪雨がレイパパレに味方しました。
直前の雨により、重馬場開催となった大阪杯では直線、コントレイルやグランアレグリアの末脚の伸びが欠く中、逃げたレイパパレは後続を置き去りに、無敗でG1タイトルを手にすることができたのです!
その力強い脚は母の父クロフネから継いだものでしょう。
大阪杯を勝利し、背負うものが大きくなったレイパパレ。同期のデアリングタクトが怪我のために戦線離脱し、いよいよ同世代牝馬のトップに立ちました。
ところが、その後のレースでは展開に悩まされ、勝ち星どころか馬券にも絡めませんでした。
5歳となった2022年。今年はどのような舞台で競馬するでしょうか。
4-3:パンサラッサ
コントレイルと同期のパンサラッサが注目を集めたのは2021年の福島記念です。
同月に世代最強馬のコントレイルが引退することで、話題性は持っていかれましたが、この福島記念におけるパンサラッサも強い競馬でした。
パンサラッサは福島記念においてハナに立つと、1000mを57秒3のハイペースで飛ばします。
後続を置き去りにする大逃げに、多くの競馬関係者はばてるだろうと思いました。
ところが、最後のコーナーに入ってからも、そして、最後の直線でも後続を突き放そうとし、2着馬のヒュミドールに4馬身差をつけ、逃げ切りで勝利を収めたのです。
この福島記念におけるパンサラッサの1Fにおける通過タイムが
11.9 – 10.8 – 10.9 – 11.9 – 11.8 – 11.9 – 12.4 – 12.4 – 12.1 – 13.1
このようになっています。
後半の1000mはさすがにペースを落としつつありますが、それでも前半に稼いだ貯金と粘り強さで勝ち切ったのは見事でしょう。
このあとに挑んだ有馬記念でも大げを仕掛けます。
さすがに敗れましたが、福島記念同様、もっとも得意とする競馬を行い、暮れのグランプリレースを沸かせました。
5:ダートで活躍している逃げ馬
これまでは芝の現役逃げ馬を紹介しましたが、当然ダートでも活躍している逃げ馬は存在します。
絶対数は多くありませんが、現在活躍している逃げ馬を紹介しましょう。
5-1:インティ
2022年時点で8歳馬になりましたが、まだまだ元気いっぱいのダートホースといったらインティです。
かつて6連勝を飾ってフェブラリーステークスも制したその実力は、成長のピークを過ぎた2021年も発揮され、大舞台でも崩れしていません。
近走は二の足が遅くなったことで先行策や後方競馬に脚質シフトしつつありますが、それでも結果を残していて、どんな展開でもポテンシャルを発揮できる馬ですね。
年齢的なものもあり、人気落ちの傾向が強いですが、人気に反して結果を残しているので、今後もヒモ候補として馬券には絡めたい一頭です。
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5-2:アメリカンシード
もともとは芝でデビューを果たした馬ですが、ダートにシフト変更してから3連勝を飾り、一気にオープン入りを果たしました。
現在もダートレースに出走していますが、重賞の壁に阻まれている印象があり、これまで出走したダート重賞では人気に反して結果を残せませんでした。
敗れたダートの重賞レースを見ると、内枠から挑んだレースでは外から馬が殺到するのを嫌ってか、ハナに立てずに凡走しています。
逆に、外枠から2着に入線した2021年の平安ステークスを見る限り、落ち着きを持ってハナに立てているので、内枠よりも外枠が得意なのかもしれません。
得手不得手のある馬で馬券的には狙いづらいものの、いつダート重賞を手にしてもおかしくない実力はあるでしょう。
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まとめ
現在活躍している逃げ馬を紹介しました。
文中でも少し触れましたが、2021年は先行馬や差し馬のほうが好走していたので、第一戦で活躍している現役の逃げ馬はそこまで多くありません。
しかしながら、G1レース以外でも結果を残している逃げ馬はたくさんいます。
今後も、大舞台で結果を残す逃げ馬は現れるでしょう。
一競馬ファンとして、逃げ馬の活躍に期待したいですね。