競馬予想の際に、出走馬の脚質を見ながらレースの展開を予想する方もいます。
レースの展開を見抜くことはとても大切です。
なぜなら、レース展開によって、かみ合う馬がいれば思わぬ高配当を得られるかもしれないからです。
しかし、どのようにレース展開を見抜けばいいのか分からない方もいるでしょう。
そこでカギとなるのが脚質です。
出走馬を見てどの馬がレースを引っ張り、どの馬が後方から追走し、どの馬がパフォーマンスをフルに発揮するのか見抜くことで馬券収支向上につながります。
ここでは、各脚質の馬がどのようなかたちで競馬をするのか、紹介します。
《この記事で分かること》
- 脚質ごとの特徴とレースにおける位置取りが分かります。
- ペースにおける有利な脚質が分かります。
- 馬場状況と脚質の影響が分かります。
1:競走馬の脚質は大きく分けて4種類存在する
競走馬にはそれぞれ得意とする競馬スタイルがあります。
例えば、先頭に立って競馬する馬もれば、前の方で競馬する馬もいますし、最後方から末脚を伸ばす馬もいます。
ここでは、大きく分けて4種類存在する脚質について紹介します。
1-1:逃げ馬
逃げ馬とは、スタートから先頭に立って競馬を行う馬で、レース全体のペース配分や展開は逃げ馬が握っているといっても過言ではありません。
先頭に立つということはペースのコントロールを利かすことができるので、逃げ馬にとって有利なペースを作ることができます。
また、逃げ馬の前にはほかの馬がいないので、進路を遮られる心配がなく、常にフルパフォーマンスを発揮できます。
もっとも得意な競馬を行い、最後の最後、後続の追撃を退いて勝利を手にするのが逃げ馬の特徴です。
1-2:先行馬
先頭に立ちませんが、馬群の前方で競馬する馬を総称して先行馬と呼びます。
一番前には立ちませんが、馬群の前で競馬を行い、いつでも先頭に立とうと身構えます。
逃げ馬同様、馬群が壁になることが少ないので、好走率が高い脚質です。
隙があればいつでも先頭を狙おうとする脚質で、向こう正面からハナに立つこともあれば、最後のコーナーもしくは直線で先頭に立って勝利をもぎ取ろうとする脚質です。
1-3:差し馬
馬群の中団よりやや後ろで競馬を行うことが多いのが差し馬です。
前に行く馬にペースは任せ、ひたすら脚を溜めます。
勝負所で溜めていた力を発揮し、一気に前に行く馬を捕らえにかかるのが差し馬の競馬です。
1-4:追い込み馬
追い込み馬は、馬群の最後方で、差し馬以上に脚を溜めて競馬を行い、いつ仕掛けるか虎視眈々と待ちます。
その末脚は差し馬以上で、上がり最速を叩き出すのはたいてい追い込み馬です。
しかし、仕掛けどころを誤ればせっかく溜めた脚も不発に終わるので、好走率は低いですが、はまれば一級品の脚でごぼう抜きすることもできます。
1-5:【レア】自在馬
自在型はレース展開によって前で競馬を行ったり後ろで競馬を行って好走します。
どんな展開になっても力を出し切ることができることが条件なのでよほど器用じゃなければ自在馬にはなれません。
絶対数は少ないですが現役のシュネルマイスターやグレナディアガーズ、歴代の馬でいうと無敗の三冠馬となったシンボリルドルフやマヤノトップガンは先行でも差しでも結果を残しています。
2:脚質ごとにレースの位置取りを知る
脚質ごとにレースの位置取りは変わります。
どの脚質の馬がどの位置するのかレースの序盤、中盤、終盤にわけて解説します。
2-1:レース序盤の位置取り
レース序盤でもっとも忙しいのは逃げ馬です。
逃げ馬はとにかくハナにたってはじめて力を発揮できるので、逃げ馬が多数揃った場合は逃げ馬のポジション争いが熾烈になります。
先行馬は逃げ馬の後ろで競馬をし、差し馬は先行馬の後ろ、追い込み馬に関しては最後方で競馬を行います。
隊列としては
逃げ→先行→差し→追い込み馬
の順番で序盤は決まりやすいです。
2-2:レース中盤の位置取り
レース中盤も逃げ馬が先頭に立っていることが多いです。続いて先行、差し、そして追い込み馬の順番でコースを走ります。
しかし、このあたりからペース配分によって隊列は変わります。
例えば、逃げ馬がスローでレースを展開していたら差しや追い込み馬は最後の直線でスパートをかけても届かない可能性があります。
スロー展開の場合、差しや追い込み馬は向こう正面からスパートをかけます。そのことをまくって一気に勝負を仕掛けます。
中盤の隊列は逃げ馬のペースによって変化します。
2-3:レース終盤の位置取り
レース終盤はどの馬にとっても最後のスパートをかける非常に重要な局面です。
逃げ馬の場合は最後の最後まで後続を振り切ろうと粘ります。
先行馬の場合は前を走る馬をかわして先頭に踊り立とうとしますし、差しや追い込み馬といった脚を溜めるタイプの馬はここ一番で猛追を仕掛けます。
どの馬が勝利をつかむかは、それまでの展開はもちろんのこと、サラブレッドのポテンシャルにも左右されます。
それぞれの脚質の馬が全力でしのぎを削る光景は競馬がもっとも盛り上がるシーンでもあります。
3:ペースが脚質に及ぼす影響
どの馬にもベストを発揮できる脚質はあります。
そして、その脚質を活かすにはペースが重要です。
ここからはペースにおける脚質の有利不利を解説します。
3-1:前に行く馬はスローペースの方が好走する
前を走る逃げ馬や先行馬はスローペースで競馬を進める傾向があります。
なぜなら、スロー競馬のほうが前に行く馬にとって有利だからです。
差しや追い込み馬は終盤にかけてスパートをかけますが、前に行く馬にとって追撃をかわすには余力が必要です。
前半、スロー競馬を行うことができれば、体力を残したまま終盤を迎えることができるので、後続が殺到したとしても粘り強くしのぐことができるのです。
3-2:後ろから攻める馬はハイペースが得意
差しや追い込み馬といった後ろから脚を溜める馬にとっては、ハイペースの流れが望ましいです。
ハイペース競馬は逃げ馬や先行馬が終盤になって一杯になる可能性が高いので、相対的に後方馬が有利になりやすいからです。
短距離レースや、スタートと最初のコーナーの距離が短いコースにおいて、ハイペースの流れになることが多いです。
4:競馬場における脚質の影響
脚質は、ペースだけではなく、競馬場においても大きく影響します。
どのような舞台でどの脚質が力を発揮しやすいか、解説します。
4-1:小回り競馬場で好走しやすいのは逃げ・先行馬
コーナーワークが小さいいわゆる小回り競馬場で好走するのは前を走る逃げ馬や先行馬です。
コーナーをコースロスなく回るには減速しないといけません。
なぜなら、最高速度でコーナーを回ると慣性が生じてしまい、どうしてもオーバーワークになってしまうからです。
トップスピードを武器とする差しや追い込み馬はコーナーワークでは進出し辛いので、間接的に前を走る馬が有利になります。
ちなみに小回り競馬は札幌や函館、福島や小倉といったローカル競馬場が該当します。
中山競馬場もビッグレースが開催される競馬場の中では小回り扱いされます。
4-2:直線の長い競馬場では差しや追い込みが決まりやすい
直線の長い競馬場は差しや追い込み馬が台頭しやすいです。
なぜなら、直線が長いほどトップスピードを維持することができるからです。
直線が長い競馬場は東京や京都、阪神といった主流競馬場のほか、高松宮記念が開催される中京競馬場も直線が長い部類に入ります。
ちなみに直線が最も長いのは新潟競馬場です。ホームストレッチの勾配もほとんどないので新潟のレースではほかの競馬場と比較しても好タイムがでやすいです。
5:馬場と脚質の影響
最後に、馬場状況が脚質にどのような影響を及ぼすのか紹介します。
5-1:時計の出る馬場は差しや追い込みが台頭する
時計の出る馬場では差し馬や追い込み馬といった後方待機組が好走しやすいです。
後方で脚を溜める馬はラストスパートで勝負を仕掛けるので、瞬時に最高速度に達することができる加速力が必要です。
時計の出る馬場は加速しやすいので、後方組のキレのある脚を見ることができます。
ちなみに、時計の出やすい馬場には特徴があります。
芝であれば乾いていてなおかつ痛みのない状態がもっともスピードに乗ることができます。
例えるなら開幕週の良馬場は時計が出やすいです。
ダートの場合は雨が降った稍重や重馬場のほうが馬場が固くなって脚がすくわれないので、稍重馬場もしくは重馬場の方がスピードがでます。
5-2:時計のかかる舞台は前残りが顕著
時計のかかる馬場というのは、タフで力が求められる馬場を意味します。
タフな舞台では前を走る馬が好走します。
タフな条件では、差しや追い込み馬といった後方組がスパートをかけようにも思うようにスピードに乗ることができないので、前残りが発生しやすいのです。
なお、時計のかかる馬場は開催時期や天候に左右されます。
芝の場合は雨で湿った馬場であればかかりやすく、ダートの場合は乾いた良馬場は脚がすくわれやすいので時計がかかります。
また、不良馬場のダートも脚が地面に深く刺さるのでスピードよりもスタミナやパワーが求められます。
まとめ
脚質がどのような展開を及ぼすのか解説しました。
どの脚質の馬にも得意な舞台や苦手な条件は必ずあります。
特に、ペースや舞台、そして馬場状況によって脚質の有利不利は大きく影響します。
脚質における情報を駆使することで、好走する馬を見出すことも可能です。
当記事が、すこしでもあなたの馬券収支向上に貢献できれば幸いです。